1億円ワークショップ
異なる意見、背景をもつ複数のステークホルダーから1億円を引き出すシミュレーションワークショップ。
【目的】
1億円ワークショップとは、異なるステークホルダーのバラバラな意見を統合するためのアイディアを出すという活動を通して、科学を社会に実装していく「関心の翻訳」を体験するワークショップです。
どんなアイディアでも、ある人にとってはメリットに感じられるアイディアでも、他の人にとってはメリットを感じない場合が多々あります。科学社会学者のブリュノ・ラトゥールは科学が社会に浸透する際も、科学者は多様なステークホルダーの「関心を翻訳」する行為を通して、ステークホルダーにアイディアを浸透させる行為です。
【用意するもの】シナリオ、4人の専門家、1000千万円、2000万円、3000万円の出資カード
【ワークショップの進め方】
①アイディアの課題(例:A地区に新しい博物館を立てる)とステークホルダーの紹介
②グループでそれぞれのステークホルダーに質問項目を決定
③それぞれがステークホルダーに聞き取り調査
④バラバラな関心を持つステークホルダーの関心を翻訳しながらアイディアを創出する
⑤ステークホルダーにプレゼンをして、合計1億円の投資金額をゲットするよう目指す!
【関連理論】
ラトゥールは科学者は社会に埋め込まれていると、科学者への人類学的調査から明らかにしていました。そして社会に埋め込まれている科学者が科学的知見を社会で実装するためには、主張を事実に変換するのを補助する他者を必要とすると指摘しました。その際、他者を自分と共に
彼らの関心に沿った研究目標を立てる→自分の研究関心と離れる
彼らの関心を移行させる→実現不可能、稀
彼らの関心の近道を案内させる→これも実現難しい
関心と目的を切り離す
目的を置換する
新しい目的を考案する
新しい集団を作り出す
う回路をみえないように表現する
ブリュノ・ラトゥール(1999)『科学が作られているとき』産業図書
【実践事例】
CoSTEPの2018年のオープニングワークショップで1億円ワークショップを実施しました。
その時のお題はこんな感じです。
科学技術コミュニケーターとして科学技術コミュニケーションの事業を実施する会社を立ち上げたあなたのチーム。北海道150年にちなんだ「北海道150年の科学技術」というテーマのサイエンス事業を企画してほしいと、道庁職員から依頼されましたが、道だけの資金は足りません。事業話実施するためには最低1億円が必要とのこと。
今回は、「それって科学ですか?」が口癖の科学至上主義の学長や、「とにかく派手にしたい!」自治体職員など個性豊かなステークホルダーを用意しました。
旅行会社の経営者であるMosir Co. CEOクラーク氏の口癖、「それでKyotoに勝てますか?」という主張を聞き取る受講生。
試される大地「Hokkaido」で実際に試されるツアーという奇抜なアイディアも登場!
さて、1億円に届いたチームは現れたのか?
1億円ワークショップは、地域創造のワークショップやサイエンスコミュニケーションの学習場面で用いられています。
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