芸術祭ってなんだ…と思ってんだ?@札幌国際芸術祭2017


札幌国際芸術祭2017が開催されています。

今年のテーマは、「芸術祭ってなんだ?」と「ガラクタの星座たち」。

なお、ここからのレポートは芸術祭に対する愛が強すぎて、しかも前回の札幌国際芸術祭がかなり好きで、なおかつ札幌に来て色んな人の話を聞いてとても期待感を持ってこの芸術祭に臨んだという、私のバイアスがかかりすぎな点をご容赦ください。

個人的な見解にすぎませんが、芸術祭って、アーティストがたくさん集まって、地域でアートを展示する、その”にぎわい”を祭りと呼んでいたのでは?

余所から来る鑑賞者のにぎわいと共に、地域がなんとなくふわふわして、微かに地域と外部が接触して、訪れた者も、受け入れた者も、余韻を引きずりながら日常に帰っていく...そのための仕掛けが非日常を感じさせるアートである、と思っていました。

本来、祭は地域のものですが、芸術祭に限っては、外と内が共に創り上げていく祭、だからこそ、芸術祭だけは外から訪れても余所者扱いされない、という安心感がありました。

今回は札幌市民だけが楽しむ祭だから、外から来る人は黙ってて、ていうスタンスならば余計なお世話かもしれないけど…私がわざわざ札幌に芸術祭のために訪れたら、残念に感じるかもしれません。

(誰もいない円山公園でテントを立てるという作品を立ててみたけれど…)

残念な理由1 開館日、時間、期間がバラバラ

コンサートや演劇のような舞台芸術に慣れている人なら、日時を予めしっかりと確認するのが普通なのかしら?でも、芸術祭の鑑賞者ってその期間訪れたら、いつでも見れると思っちゃいがちなんです。

月曜日はすすきのエリアや資料館が休みで、火曜日は宮の森美術館やHUGが休みで、水曜日は円山動物園が休みで、三岸好太郎美術館の展示は9月から始まって、時々札幌市立大学が休みで、9時から始まる展示と、13時から始まる展示が混在してて…

難しい…難しいよ、札幌国際芸術祭。みんなで集まって一緒のもの観よう!っていうのが舞台芸術の鑑賞方法だとしたら、単独でフラフラ見歩く、協調性のなさがアートの鑑賞方法なのです。なので、できればスケジュールは理解しやすいものにしてもらえるとありがたい。休むななんて言わないからさ。

*その他にも小さな理由として…

マップに駅名が書かれていない。市電とコラボしてるのに、残念。

本当に残念な理由 大きな声で言えないけど、造形作家少ないよね…

大きな声で言えないけど、太字では書いちゃった。

ごめん、もうこれは譲れない。芸術祭にはアートを見ること期待しちゃってます。だから、パフォーマンス見ろとか、DJと踊れとか、北海道の工芸やスキーの歴史知れとか、古いテレビ見ろとか、のんがアーティストとして数えられていることとか、あってもいいんだけど、それはアート鑑賞の代替になるような体験ではないんじゃないかなー。(語尾、柔らかくしてみました。)

芸術の森エリアで約6作品、モエレ沼エリアで約6作品…会場型アート作品点数としては非常に少ない。

例えば、横浜トリエンナーレの横浜美術館で約28名、去年のあいちトリエンナーレの愛知芸術文化センターで約40名の作品を見れることを考えるとやっぱり物足りない。

(見てないのに批判してるって思われたくないから、モエレ沼もいったよ、モエレ山も登ったよ

伊藤隆介の「長征」、モエレ山を無人の自転車が登っています。

私は毛沢東の長征に思いをはせながら、鑑賞しました。雪山を超えることを想像すると楽しい。)

どの会場に行っても、大友さんの作品である「Without Records」があるのも、なにかといえば大風呂敷広げているのも、たくさんの作品を見るという前提であれば、いたずらみたいで楽しいんだろうけど、今回は使いまわし?っていう印象になっちゃってもったいない。

私はアートを「見た」いんだ。視覚芸術は他のインタラクティブな芸術を好きな人にとっては、素っ気なく、つれなく、なんか一方通行的に映るかもしれない。ただ、小説がそうであるように、作品を「見て」鑑賞者は密かに作品と交流してるんだと思う、外からは見えないかもしれないけど。

だから、パフォーマンスで、ワークショップで、アート作品鑑賞の機会の代替にはならないんだと思う。

ちょっとわからなかった理由 地域性って何?

これまでは、私が外から芸術祭を楽しめるかという話。

しかし、中から芸術祭を楽しめるかと問われた時に、市民歴も浅いので判断できません。

モエレ沼公園の展示は宇宙とテクノロジー、そして芸術の森の展示はサウンドインスタレーション、街中地区の最大のテーマは猥雑さ。このとっ散らかった感じは、中途半端に都会で、中途半端に大きくて、新しい街、札幌の捉えどころのなさなのかもしれません。

ただ個人的には、すすきの地区のアングラさをどう解釈していいのやら…これって札幌らしさなの?

ひりつくような地域特有のアングラさなら受け止めるけど、地域性っていうより個人の趣味に見えるが。こんなにアングラ感満載なのに、わざわざグルメガイドを作って、すすきのに来たらコラボパフェ食べてね

(๑´ڡ`๑)っていう不安定な札幌国際芸術祭。乙女なの?サブカルおじさんなの?どっちなの?

(雑然とした居酒屋てっちゃんの内部を再現した空間)

グルメガイドでは一転して、パフェやイタリアンなどを紹介している)

さて、今回札幌国際芸術祭のボランティアの役割が、監視やガイドから、SIAFラボで市民一人一人が札幌と芸術祭の関係について考える、企画側として採用されているというところは注目点です。その分、会場にはボランティアが少なく、交流がないところは他の芸術祭を経験している身としてはちょっと冷めているように感じました。しかし、表面上の地域性じゃない地域性というのを札幌国際芸術祭が目指していくのであれば、私自身も少しこの点についてはきちんと追っていきたいと考えています。

最後に、作品自体や展示がつまらなかったかというと、そうではありません。素敵な作品も展示も、ありました。

(家族みんなで楽しめるEYEの作品、ネタバレしちゃうともったいないけど、星空を体験できます。)

(かつてごみの集積場所だったモエレ沼公園に思いをはせた伊藤隆介の地層をモチーフにした映像作品。

やっぱり、サイトスペシフィックな作品っていいな。)

また現代アート作品だけじゃない、工芸やデザインの展示も本当によかった。先ほど現代作家が足りない分、工芸やデザインでお茶を濁しやがって、みたいな言い方して(え?してない?)すみません。

(札幌のデザインの歴史をまとめた、札幌駅にあるプラニスホールの展示。北海道をデザインしてきた栗谷川健一のかわいいイラストのお菓子缶。ヨーグルトせんべいだって、そこクッキーじゃないのね。)

(札幌資料館で展開されている「札幌と北海道の三至宝アートはこれを超えられるか!」の木彫りクマの展示。時に邪道なクマも展示されてて、土産物の楽しさと、工芸品の情熱のバランスがいい木彫りクマ。)

結論:私にとっては祭だったんだけどな…

ここまで書いてきて、勝手にふらふら見て、静かに作品に思いをはせて、アート好きが楽しむ芸術祭って確かに「祭感」がはた目から見るとないかもしれない、と気づきました。

ただ、本当に祭のワイワイガヤガヤしているのが好きなら、音楽フェスに行ってるし!近所の神輿担いでるし!

「祭」って表して悪かったよ。でも、物理的にアゲアゲじゃなくても、はた目から見て盛り上がってなさそうでも、私にとっては、芸術祭は心の中で祭だったの。

カメラのフィルター越しに作品と地域を観ながらドキドキし、地域の人と一言二言、言葉を交わしてはワクワクし、ゆっくり、自分のペースで心を燃やしていたんです。

集わなくても、交わらなくっても、語り合わなくても、アートを見ることが祭だったんです。

せっかく見つけた楽しみだったのに。

芸術祭を本当の祭に近づけないで…お祭りが好きなら、もう普通の祭に行ってるよ。


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